今回の事例は、公営競技の組版システム。クライアントは、公営ギャンブルの専門紙を発行している新聞社だ。現在、新聞業界では紙ベースの売上が年々減少。印刷には輪転機という大型で特殊な機材を使用しているが、この輪転機のメンテナンスには年間数千万円、老朽化で新規に導入すると一台数億円もの設備投資が必要になるという。そこでクライアントは、紙の発行は通常の印刷に移行して維持コストの削減を決断。一方で、ウェブサイトに対応した組版システムの導入を検討することになったという。
ここで言うシステムによる組版とは、紙面を構成するレイアウトを情報量に合わせて自動的に行うもの。公営競技の新聞には「柱」と呼ばれる部分があるが、馬の名前や選手の名前、モータの種類や、経歴情報などが記載されており、競技の種類やレースのグレードによって記載量が変化する。この柱のデータベースは、公式ウェブサイトから引用して取り込んでおり、システムが判断して適宜紙面に最適なスペースでレイアウトしている。記者による取材記事を掲載するコメント部分も、新聞ならではのパート。この記事を限られた紙面のスペースの中でどのように配置するかという部分についてもシステム化した。
また、新聞では記事をレイアウトする上でどうしても隙間が発生するが、そこには「埋め草」を配置している。これは小さな広告の場合が多いが、あらかじめ用意された数種類のサイズの中からシステムが自動的に選択しレイアウトするようにしているという。
以前は、現場の記者から手書きの原稿がファックスで届き、それを待ち構えているスタッフが手作業でテキストに打ち直していた。しかし、新システムでは即応性に対応し、記者がモバイル端末からログインし、原稿を入力できるようにした。また、予想欄に関しては、担当の記者がそれぞれ専用の画面にアクセスして、各レースの予想を入力。それが自動的にレイアウト上に反映される仕組みを構築した。例えば、7名分の予想枠がある場合、7名分全ての予想が揃った段階でシステムがOKと判断し、レイアウトに流す。これらの情報をデータベースに登録すると、ウェブ用と紙用の2種類に分けてレイアウト出力できる仕様で、業務効率アップに貢献しているという。
このプロジェクトに参加した当初は、とにかく業界用語がわからなくて苦労したという。関係したスタッフのほとんどがギャンブルに縁がなく、略語も多いため、誤字との判別がつかないほど。外字が多かったのも苦労したという。そのためテストの過程では、開発スタッフが文字に関して正誤の判断ができず、システムの問題か否かを見分けるのに苦労した。そこで、エンジニアが実際に現地に同行し、朝の第一レースから最終レースまで現場に立ち合い、勉強したという。
この業界では、同じような課題を抱えている業界新聞社や地方新聞社が多い想定。今回の実績をもとに、他の新聞社等に水平展開を図りたいとのことだった。
2023-12-08
110-0015 東京都台東区東上野6丁目1-7 MSKビル 4F
2001年4月6日
業務系ソフトウェア開発
IT人財アウトソーシング
各種サーバー及びネットワーク機器の構築・保守
マルチメディア企画、制作
Webコンテンツ、Webアプリケーション開発
ハードウェア販売
電気工事(弱電)
132,250,000円
正社員 163名
一般労働者派遣事業許可番号 般13-305201
一般建設業(電気通信工事業)
東京都知事許認可番号(般-22)第135876
このサイトはアクロホールディングスが運営しています。
年間約2万人月の実績で得られた経験を元に、課題のヒアリング・システムの企画、相見積の取得、
見積内容の精査、プロジェクトのマネジメントまでご支援しています。
お問い合わせはこちらのメールフォーム、または下記電話番号まで。