今回の案件では、人材派遣の大手企業からの依頼で、基幹システムを再構築した。同企業では創業以来、基幹システムを継続して使っていて、成長に伴い業務内容や手順は増える一方。ミスが頻発するようになっていた。企業規模が小さい段階では業務を手作業でこなすことができても、大きくなってくると手作業による間違いの件数が増えて、その対応に追われてしまう。同企業はこの状況を改善するため、何度かシステムの再構築を試みたが失敗しており、株式会社Vitalizeが受注することになった。BPR（Business Process Re-engineering：ここでは職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインし直すこと）に取り組み、マーケティング、営業から支払い、請求、回収までの全てのプロセスにおいてあるべき仕組みを一緒に考え、実際にシステム化するところまでを手掛けたという。

システムの再構築にあたっては、まず最初に業務フローを整理した。既存の業務を全て洗い出し、事業のあるべき姿から現在を振り返るバックキャスティングの手法で業務を再定義。必要な部分を完全にシステム化した。
これまでシステムの再構築を手掛けた企業のなかには、今ある状態をそのままシステム化することを試みたため、必要な開発の追加が続いて再構築が終わらない状況を生み出すこともあった。あるプロセスについて計算パターンが200ほどあったところを「そもそも5パターンで良いのでは」と提案して、業務の自動化に向けて準備を進めて行ったという。
同社の創業メンバーには、代表が戦略立案・業務改善コンサルタントを経験しているのをはじめ、営業や会計業務の経験者もいる。そこで、開発項目の決定をクライアントに任せるのではなく、こちらが目的に根ざした業務のあるべき姿を提示し、それに沿ったシステムの内容をお客様と一緒に決めるスタンスで業務を進めることができる。上流の戦略からシステムの実装、テスト、運用、保守までをワンストップで開発できるのが強みだ。

今回の案件では、営業以外のことは全て、つまりは契約から顧客管理、サービス、請求管理までの全てをシステム化する必要があった。また、既に数千人規模で使われていたシステムだったため、大掛かりなシステムを一気に入れ替える必要があった。このリリースに向けて約1年を掛けて取り組んだ。この開発により、各種計算の人為的ミスの削減、契約自動化、請求支払いの一元化、派遣するスタッフのマッチング提案機能の追加などが実現し、業務改善に大きく貢献することができたという。

同社では、AWS（Amazon Web Services）とRails（Ruby on Rails）をベースとした最新の開発環境を整えている。AWSを採用することで、自社設備内で完結して管理、運用するよりも余計な保守費用を発生させずにシステムの拡張性を確保。また、Railsを採用することでコードを書く量を従来よりも大幅に削減し、開発時間の短縮を可能にしている。リリース直前に不足しているものが発見されることがないよう、プロトタイプを早めに見せることも重視している。スピード感を持って取り組むことで、途中大きな問題が発見されて前の段階に戻ってやり直すことを防いでいる。業務改善・システム開発のほか、Webマーケティング、地方創生のコンサルティングも得意としていることから、活躍のフィールドをどんどん広げていきたいとのことだった。