スマートライト株式会社は、照明や空調などの設備機器やオーディオ機器の制御システムの構築を得意とする企業。今回のクライアントは、東京都内にある映画館にて、上映前から上映後までシーンに応じて照明を制御したり、イベント時に照明を手動で操作できるシステムを構築した。映画鑑賞に強いこだわりを持つクライアントは、照明設計を海外デザイナーに依頼したが、国内の制御システムでは対応できなかったため同社に相談したという。

国内ではメーカー独自の照明制御方式を採用する方が一般的。しかし、ヨーロッパを中心とした海外では、DALI（Degital Addressable Lighting Interface：ダリ）と呼ばれる照明制御の国際標準規格が多く用いられている。DALI対応の照明器具であればメーカーを問わずに同一システムで使用することができるため、器具の選択の幅が広がって設計の自由度が高まるメリットがある。
今回の案件では、DALI対応の照明器具がを使用し、上映前、予告、本編、終了後のタイミングで客席の明るさが変わるよう照明器具と映像サーバーを連動させるという課題があった。照明だけでなく映像機器と連動して制御する、つまり様々な設備の制御を1つのシステムで行うため、KNXと呼ばれるホーム・ビルオートメーションの国際規格を導入した。
日本国内でのKNX導入事例はまだまだ少なく、同社でも初めての試みで試行錯誤することも多かったというが、クライアントの希望納期2カ月で導入することができたという。

同社によれば、日本では設備を専門にしながらITにも精通する人がまだまだ少ない状況にあるという。Node-RED（フローベースのビジュアルプログラミングツール。ウェブブラウザーからフローを編集できる）と呼ばれるプログラミングツールを使って、複数の設備をIoT（Internet of Things）やAIと連動することも可能になってきている昨今、Node-REDもDALIもオープンソースであるため、開発力があればいろいろなモノとつなぎ合わせることができる。同社では費用も日数もあまりかけずにデモ機でテストできることから、自宅、オフィス、工場などで設備をコントロールしたい場合は、お気軽にご相談いただきたいとのことだった。